ヘヘヘェ!
試乗しちゃいました!「スーパーカブ110」。
しかも発売前の昨日、都内を・・・
郵便配達に新聞配達。出前や銀行の集金。
スーパーカブは日常で目にする一番身近なバイクですよね。
ビジネスシーンだけではなく、乗り方によってはファッショナブルに乗れる。
ねっ、広報の田中っちにもピッタリ!
(あっ、コレは50㏄の“リトルカブ”ですが…)
ビジネスシーンから、街の移動手段として、小さくて便利なスーパーカブ。
スーパーカブ誕生から51年という超・ロングセラー。
今や世界15カ国で生産され、160カ国以上で販売され、世界販売台数も累計6000万台を突破し(去年発表データだから、今はもっと!)、世界で一番愛されているバイクが、このカブなのです。
そして日本のカブの歴史が大きく変わる(?)と言っても過言では無い、「スーパーカブ110」が今日発売されました!
「スーパーカブ110」
昨日はね、都内で極秘に開催された、マスコミ向けの「スーパーカブ110」製品説明会&試乗会の潜入に成功!!
…とは言っても、「おぉ! スパちゃん。急に来たって、もう試乗枠はいっぱいだよ!」と、Hondaの関係者に、潜入はバレバレ!
まっ、いいさ。 隙を突いて試乗してみせるぅ~~~と、終始粘っていた末に、ちょっとだけ乗る事が出来たのです。
いやこのNEWカブ。
排気量が110ccとあって、オモシロイね!
今までの90ccカブから20ccとは言え、排気量UPした分パワーもある。
加速が良いから、3車線や4車線ある都内の幹線道路でも、スイスイ~!っと右車線までなんなく走れてしまう。
他のクルマの流れに、無理なく乗れるっていうのは、ストレスが無くて良いよ!
ドラムブレーキでも全然気にならない。
サスペンションもテレスコピックになって、かなり良い。
そしてこの“トコトコ”走っている感じ。
アジアでレンタルバイクで乗った感じというか・・・。
いつも走っている東京の景色が、このカブに乗ると、違って見えるのは何でだ???
いいね。 カブ。
なんたって一番スゴイのは、発売前のバイクが、青山界隈を走るってのに、誰ーれにも気が付かない。 振り返って見る人はいない。
街に溶け込んでいるのです。。。
実はスーパーカブね、ボクの中でとっても気になるバイクなのです。
それは遡る事数年前。。。
標高5250m。
チベット・チョモランマのベースキャンプを目指し、HondaのFTRとSL230でアドベンチャーツーリングに行った事があるボク。
高山病で頭痛や吐き気に苦しみ、オマケに「朝から四川料理かよ!」 と、毎日がとても過酷で楽しい旅だっただけに、一緒に行ったメンバーとはとても深い絆で結ばれました。
そのメンバーには、Hondaの広報マン高山さん(高山って名字だけに、高い山でのツーリング?)や、朝霞にある本田技術研究所(通称:朝研)でバイク開発に当る研究員達。
去年の正月、その朝研の方から「スーパーカブは今年で50年だよ!」と連絡を頂きました。
スパ:あっ、ボクもこの前 映画『スーパーカブ』見ました! 面白かったですよ!
「そう、カブはオモシロイよ!」 と色々話してくれました。
朝研:今のHondaがあるのは、このスーパーカブがあったからなんだよ!
スパ:へぇ~そうなんですか。
朝研:Hondaがアメリカに進出したのも、このカブからなんだ。
スパ:へぇ~、世界進出はカブが最初だったんだ…
朝研:ウチの会社にはね、カブで通勤してる人は多いよ! ノーマルでも楽しいし、カスタムしたってお金が掛からないからねぇ。
スパ:なんかオモシロそうですねぇ~
朝研:そう、カブは面白いよ! Hondaの社員は、みんなカブが大好きですよ!
ドレもボクの心にググッ!と来ました。
確かに世界中ドコにいっても走っているカブ。
以来ね、Hondaの原点でもあるカブは、バイクの原点でもあるんじゃないか…って、気になって気になって仕方がなかったのです。
ライダーとして、カブを知らなくて良いのか? ってね。
試乗会は、『スーパーカブ110』の開発に当った、本田技術研究所のスタッフが、開発コンセプトとマシン説明から始まりました。
開発チームの面々。
そして解説するのは、開発責任者の林さん。
更に、試乗の時にはマシンを目の前に、開発担当者から直接話を聞く事も出来るのです。
今までのカブと、何がどう違うのか。
大きく違うのは、キャブからインジェクションに変わったと言う事。
(インジェクションなのに、キックも付いていて、万一のバッテリー上がりでも大丈夫!)
そのエンジンや多くの機関はタイ製であるという事。
排気ガスも今まで以上にクリーンになり、環境に優しい事。
そしてフロントサスペンションが、テレスコピックになり、見えない部分のフレームも、新設計。
つまり、全く新しいカブなのです。
それはスペックの向上ではなく、従来からの使い勝手を向上させる為の開発だったそうな。
今後のカブは如何にあるべきか。
カブを実際に使用している沢山の人達へのインタビューが、開発の第一歩だったそうです。
伝統の使いやすいサイズはKeepしつつも、現代人の体型にあわせて、更に乗りやすく!
開発者曰く、「伝統のカブをどう進化させるか…が苦労した」。
あれ? どっかで聞いたコトが…!!
そう、YAMAHA のNEW V-MAXの発表会。 GKデザインの一条氏も「DNAを受け継ぎつつ、まったく新しいコンセプトに苦労した」って言ってた。
参考:『新型VMAX 記者発表会へ行ってきた!』
完成度の高いモノを、更に進化させるってのは、大変なコトなんですねぇ。
開発責任者の林さんにズバリ聞いちゃいました。
何が一番大変でしたか? って。
『コストを抑える事ですねぇ~』とご回答。
そう、それでも旧モデルの90ccと比べても、約5万円の価格UPの¥249,000-。コレがギリギリだそうな。
開発には3年程かかっているそうで、開発経費は“億”という莫大な金額が掛かっているとか・・・?
『えっ? カブで億単位なんですか?』
「カブでもですよ!」
更に「このカブを全部日本で生産したら、大型バイクと変わらない販売価格になってしまいますよ!」と。。。
そうなんだ。
カブを研究すれば研究する程、51年前の初代モデル「C100」の完成度の高さに感心し、本田宗一郎さんはじめ、今は現場にはいない、Hondaの先輩方の凄さと偉業を痛感したそうです。
また、今回の開発にあたってはかなり早い時点から“タイカブの機関を採用する”という方向性だったそうです。
そんな理由からなのか、スタッフには、タイで現地の小型バイクの研究開発をしていた経験者も多くいました。
実はボクね。
1つ前のモデル、スーパーカブ90DXが気になっていました。クラシカルな雰囲気に、深いグリーンのメタリックカラー。コレにメッキパーツを多く使っていりるから、ノーマルのままでも良い雰囲気。
だからね、結構見比べてしまいました。
今までの“カブ”と違っている部分沢山があって、それがボク個人的には、「前の方が良かった…」なんて思う部分が数箇所あったんです。
『今まではメッキのマフラーだったのに、何で黒になったんですか?』
マフラーで黒ってのはね、たとえば雨の日に乗ると、白く汚れちゃうのです。それにサビだって。。。
「えーとその件はね、担当の○○~!」と開発者が呼ばれて、その理由をエンジンとマフラーのカットオフモデルを前に解説。
排気ガスをクリーンにする装置がマフラーに内蔵されていて、そこがかなり熱を持つそうな。
(コレがマフラーの中身)
メッキにすると、焼けて変色するので、黒塗装になったそうです。
『でも、焼けたメッキマフラーは良い色じゃないですか!』
「そう言う人も多いんですけどね、それが嫌って人も多いんですよ」
メーカーとしては、色が変わらない…方を選択したワケだ!
『錆びやすかったりはしないんですか?』
「錆びについては、メッキとそう変わらないですよ。そういう塗装をしているし」
『そうなんだ…』
とか、、、、
他にもね、
『何でここのライト下の部分はメニョ~ってなってるんですか? 旧モデルはエンブレムが付いていたりして、雰囲気良いですよね?』と聞くと、
「おーい、デザインの○○~!」と呼ばれ、その理由を担当者から解説。
ちなみに左がNEW110で、右は現行の50ccだけどが旧モデルに近いフロント回り。
担当者曰く、
「旧モデルとは違って、ライトの下のこの中にフォーンが入っているんです。だからライトの下には切り込みを入れました。」
「エンブレムはねぇ、ボクもかなり押したんですけど、価格面から無しになりました。」
デザイナーさんも、機関の技術担当者や、コスト面でも担当者とかなりの激論があったそうです。
拘れば、価格は上がる。 高くては売れない“実用車”のカブ。
そっか、開発責任者の林さんが一番苦労したっていうのはこう言う事か……
『でもエンブレムからステッカーってのは、かなり違って見えますよね?』
「ビジネスシーンで多く使われているモデルですからね、今回は価格を抑えてシンプルなモデルになっています。個性的に乗りたい人には、カスタムする楽しみを取っておいてあります。」
ほう!
開発者から聞くと、『そっか、これは一番基本の“ベース車両”と思えば良いのか!』
なんて思えてくる。
事実、ビジネスモデルなのに、カスタマイズパーツも同時発売。
カタログもホラ。
こーんなカスタムモデルも展示されてました。
開発者と話していると、他にもいろんな事が見えてくる。。。
例えば、ユーザーへのインタビューを重ねてみると、カブは余り壊れないし、メンテナンスはバイク屋に任せる人が多い。 だから車載工具は最小限にして、旧モデルにあったシート下の車載工具BOXを無くしてシンプルに。
バッテリーBOXもシート下に何とか入らないかなぁ~って工夫。
そうするとね、技術屋から、「それじゃぁ配線が入らない」とか言われて、何とか入る様に考え「ホラ、入った!」と思ったら、「このパーツは向きが横じゃ機能しないから、縦に収納しないとダメ!」とか。
工夫に工夫を重ねて、その結果がこうなった・・・とかね。
『それでも、そのシート下にある、ガソリンタンクの容量は少しUPしてるんですよね?』
「そうなんですよ!」と笑顔。
『しかも110ccに排気量UPしているのに、燃費は良くなっているんですよね?』
「そうなんです! えーとそれの担当はね。オーイ! ○○~!」って別の担当者が来る。
へぇ~。ボク的には面白いな。 開発の裏話って。
他にもね、このリヤフェンダー(泥除け)。
他のパーツとは違う柔らかい樹脂で出来ているそうな。
ホントだ!
グニャ!って曲がる!! オフ車のフェンダーみたい。
『何でですか?』
狭い車庫に入れたり、後ろからの接触があると、リヤフェンダーは少し出っ張っているから、割れたり曲がってしまう。
だから衝撃に強い、柔らかい樹脂を採用したんです。
『へぇ~~』
それに、ボクが良いな! と思っていた、90DXタスマニアングリーンは、“塗装”なのだそうで、塗装はキズが付けばベースの色が見えてしまう事も…。
今回の110。
手前のコスタブルーも、奥のアバグリーンも、樹脂に色が練りこまれているそうで、キズが付いてもキズが目立ちにくい構造になっているそうな。
『へぇ~。』
他にも今までは“鉄製”だったチェーンケースは、樹脂に変更する事で、放射音を抑え、更にはチェーンが伸びてきた時には、音で知らせる特殊な構造になっている…。
こうして開発の裏話は、まだまだ沢~山。
個人的に「前のモデルの方が良かった…」なんて思ってた部分もね、「どうしてこうなった」なんて話しを聞くと、ナルホド! そうなのか! と全部自分の中では納得。
どれも考えに考え、考えて考えた結果こうなった・・・というモノばかりなので、聞いていても興味深い。
「基本はビジネスモデルなんだし、個性的に乗りたい人にはベースモデルと考えれば、これはコレで良いんじゃないかな?」
なんて思えました。
もしも開発秘話のトークショーがあれば、ボクが司会に立候補したいですネ。
もっと開発秘話を聞きたいです。
ボクね、初代のカブ、C100のデザイン担当をされた“木村讓三郎”さんという方の開発秘話を聞いた事があります。
オヤジ(本田宗一郎さん)から、「そうじゃない!」 とか、「オートバイでもない、スクーターでもないものを」ってやいのやいの言われる。
当時17インチなんてタイヤサイズは無く、「そんなモン常識外だよ!」って、タイヤメーカーからも相手にされない。
そんな末に出来上がったスーパーカブ。
51年の時を経て、スーパーカブは無くなるワケではなく、次の50年へ向け、現代の事情にあわせて変化して行くんだなぁ~と感じました。
やっぱり、『バイクの原点』って言っちゃって良いよね!
スーパーカブ。
益々欲しくなりました!
ちなみにこの110は、全く新しい新設計のカブなので、従来の社外品カスタムパーツの流用は、かなり制約があると思います。
各用品メーカーさん、素敵なカスタムパーツをお願いしますネ!
初代カブデザイナー 木村讓三郎さん開発秘話はコチラ
Honda スーパーカブ110のHP
【http://www.honda.co.jp/SUPERCUB/supercub110/】
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